Science誌記事和訳『立ち入った個人情報の質問は、就職面接にはふさわしくない』

先日7月30日にScience誌に掲載された記事 ”Intrusive personal questions don’t belong in job interviews” に世界的に注目が集まっています。 https://www.sciencemag.org/careers/2020/07/intrusive-personal-questions-don-t-belong-job-interviews - Twi…

知っておこう!PCR・抗体検査・抗原検査それぞれの違いと特徴

さて、covid-19(新型コロナウイルス感染症)に対するPCR検査を無意味にdisった一部界隈中心に、なぜか抗体検査を妙に持ち上げる動きがみられるようです。 しかし、抗体検査はPCRとはまったく性質が異なる検査で、追加で行うならともかく、PCRの代わりになる…

菊池誠氏の危険なトンデモ医療記事について

原発事故時には『メルトダウンじゃないだす』と大嘘を流布し、 豊洲市場の”俺の安全宣言”から思い出す、菊池誠(キクマコ)の「メルトダウンじゃないだす」発言と危険度矮小化作戦 - Togetter 先日は最低賃金に関するトンデモ見解で話題になった阪大教授、物…

科学的懐疑主義の立場から見たHPVワクチンの副反応の問題ー史上最大なのは薬害か薬害捏造かー

JAPAN SKEPTICS委員で生化学者の平岡厚氏のHPVワクチン副反応問題に関する最新の講演資料を頂きましたので、こちらで公開致します。現時点での情報を簡潔にまとめられており、状況の概観に適していると思います。 科学的懐疑主義の立場から見たHPVワクチンの…

科学的懐疑主義者がHPVワクチン副反応問題を徹底的に調査した結果…

「科学的懐疑主義」といえば宇宙物理学者でSF作家のカール・セーガンですね。 カール・セーガン科学と悪霊を語る セーガンによる科学的懐疑主義とは、 裏づけをとれ 議論のまな板に載せろ 権威主義に陥るな(権威はこれまでも過ちを犯してきた。これからも間…

HPVワクチン副反応マウスモデル論文の不当な撤回問題について

Scientific Reports誌に査読を経て正式に掲載された荒谷らによるHPVワクチン副反応マウスモデルの論文が先日、何の不正も認められていないにも関わらず、編集側の一方的な判断で撤回されるという異例の事態が起きました。 Retraction: Murine hypothalamic d…

長瀧氏やWelchといった過剰診断論者はどこがおかしいのか〜世界や韓国の甲状腺がんの増加に関して〜

さて前回のエントリでも書いたように、福島県甲状腺調査での小児甲状腺がんは多発が明らかになりました。 当事者への詳細なインタビューはDAYS JAPAN7月号にもあるので、ぜひ一読をお勧めします。 DAYS JAPAN 2015年 07 月号 [雑誌] こういう状況になっても…

福島の甲状腺検査で過剰診断論が退けられた理由

さて、先日の第19回「県民健康調査」検討委員会記者会見では甲状腺がん悪性ないし悪性疑いの人数が平成26年度の本格調査では15人、先行調査では 112人、計127人(良性1例、低分化がん3例含む)*1になったことが明らかになりました。 特に本格調査に関しては前…

名取宏氏はどこで道をあやまったのか〜なぜ1994年報告書はMCS(化学物質過敏症)や臨床環境医を否定しなかったのか〜

さて間が空いてしまったので簡単におさらいしましょう。 まず名取宏氏によるこういった暴言 https://twitter.com/NATROM/status/344020644603764737 化学物質過敏症は臨床環境医によってつくられた「医原病」だと思う。 http://d.hatena.ne.jp/sivad/2013070…

放射性PM2.5としての原発フォールアウト(セシウムボール)を考える

さて原発事故後の鼻血現象に関して、フォールアウトの影響を考える際、私は以前より鼻粘膜の炎症の可能性を指摘してきましたが、 http://d.hatena.ne.jp/sivad/20110906/p1 その後フォールアウト内容物にサイズ的にPM10~PM2.5(particulate matter, 粒径10μm…

子宮頸がんワクチン副反応と、アジュバントによるマクロファージ性筋膜炎について

さて、先日の1月20日、子宮頸がんワクチンの副作用に関して以下のような厚労省の見解が発表されました。 接種後に長引く痛みやしびれなどが報告されている子宮頸がんワクチンについて、厚生労働省の専門部会は20日、副作用の原因や治療法を論議、接種時の…

原発批判の原点を読もう・武谷三男編「原子力発電」

1976年の刊行ながら、現在にいたる原発の問題点をほぼ網羅している名著。 福島原発事故に対しての科学的考察に関しては昨年に出た牧野淳一郎氏の 原発事故と科学的方法 (岩波科学ライブラリー) がマストですが、その牧野氏も文中で挙げ、問題意識の原点とも…

NATROM氏はどこで道をあやまったのか〜AMA1994をちゃんと読もう〜

承前。 http://d.hatena.ne.jp/sivad/20130718/p1 http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20130907#p1 http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20130829#p1 まずひとついえることは、NATROM氏はAMAに準拠したいならばまずは文章を文章としてちゃんと読むことですね。 部分的に…

続・NATROM氏はどこで道をあやまったのか〜”allergists and other specialists”とはだれか〜

承前。http://d.hatena.ne.jp/sivad/20130809/p1 さて、先日のエントリにNATROM氏から、興味深いコメントをいただきました。 NATROM "thorough workup"の訳は確かにまずかったけど、これが意味するのはアレルギー等の既知の疾患の検査のことです。だから臨床…

NATROM氏はどこで道をあやまったのか〜2002年、ある分岐点〜

承前。http://d.hatena.ne.jp/sivad/20130718/p1 続々々・NATROM氏『化学物質過敏症は臨床環境医のつくった「医原病」だと思う』等について…なのですが、さすがにくどいのでタイトルを変更しますね。 さて、NATROM氏はAMA(米国医師会)1992年報告書を中心的…

続々・NATROM氏『化学物質過敏症は臨床環境医のつくった「医原病」だと思う』等について

承前。 http://togetter.com/li/517251 http://d.hatena.ne.jp/sivad/20130704/p1 http://d.hatena.ne.jp/sivad/20130712/p1 まず、UpToDateに関して質問がありましたので補足しておきます。 先に述べたように、UpToDateはひとつの参考として有用な情報源で…

続・NATROM氏『化学物質過敏症は臨床環境医のつくった「医原病」だと思う』等について

承前。http://d.hatena.ne.jp/sivad/20130704/p1 さて、先日のエントリにご自身のも含めいくつか反応をいただきました。ところが、それらにはいずれも、きわめて奇妙なある性質が共通しておりました。 なんと、わざわざタイトルにも入れ、リンクもしておいた…

NATROM氏『化学物質過敏症は臨床環境医のつくった「医原病」だと思う』等について

NATROM氏の主張『化学物質過敏症は臨床環境医によってつくられた「医原病」だと思う』への批判 http://togetter.com/li/517251 筆が滑るということは誰でもあるし、そういう時は基本的には訂正すればいいことだと思いますが、その後の展開をみるつけ、これは…

セシウム137内部被曝のラットモデルによる研究論文紹介

内部被曝に関するもっとも重要な論点のひとつに、化学毒性を生じない、また急性被曝にもいたらないような摂取量(低線量)において、確率的影響以外の生体影響を生じるかどうか、というものがあります。 ここに示した論文はラットを使った、期間も数か月以内…

子どもの甲状腺がんについての総説和訳(抜粋)

まず、311東日本大震災および原発事故関連の被害によって命を落とされた方々に追悼の意を表します。津波被害に対する補償も十分進まない中、原発事故に関しては事故そのものが収束せず、現在進行中の公害問題であると考えられます。 特に大きな注目を集めた…

「黒い雨」被曝者に関する内部資料、通称『オークリッジ・レポート』勝手訳その3

その1(背景と定義) その2(おもな症状など) まとめ広島において、初期放射線による被曝レベルが低かったとされる範囲内で「黒い雨」に遭遇した生存者については、287名分の文書記録しか残されていない。一方、対照群についても同様に、爆心地から1,600m…

「黒い雨」被曝者に関する内部資料、通称『オークリッジ・レポート』勝手訳その2

その1(背景と定義) その3(対照群との比較とまとめ) [g] 放射線被曝による大症状を一つ以上経験した生存者のほとんどは、小症状も一つ以上経験しているであろうと思われるが、記録からはこのことは導き出せないようだ。この表面上のアーティファクト(人…

「黒い雨」被曝者に関する内部資料、通称『オークリッジ・レポート』勝手訳その1

先日、NHKスペシャル「黒い雨 〜活(い)かされなかった被爆者調査〜」で、これまで明らかにされてこなかった被爆者調査があることが報道され、かなりの話題になりました。 発端は、長崎県保険医協会が厚生労働大臣あてに『「オークリッジレポート原爆黒い雨…

低線量被曝による鼻血について考える

ごく簡単ですみませんが、ツイッターよりは多少ましということで失礼します。 まず、事故直後の鼻血は、関東圏の汚染程度であれば、機序からして、被曝による血小板激減や、白血病からのものである可能性は極めて低いと考えられます*1。 いろいろな解説にあ…

児玉演説があきらかにした「100mSv以下は大丈夫」の欺瞞

特にインターネット上で、東大アイソトープ総合センター長、児玉龍彦氏の参考人演説が大きな話題となっています。動画や http://www.youtube.com/watch?v=eubj2tmb86M ノートテーク http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/8f7f0d5f9d925ebfe7c57aa544efd862…

児玉龍彦先生演説の英訳版をつくりました

zfishさんの呼びかけで、児玉龍彦先生の衆議院での演説を、守田さまの以下のノートテークに基づいて英訳いたしました。 衆議院厚生労働委員会 「放射線の健康への影響について」 児玉龍彦教授発言 7月27日 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/8f7f0d5f9d…

学会声明をもう一度、考えなおそう

その時別に四人連れの登山者が登山道を上りかけていたが、爆発しても平気でのぼって行ったそうである。「なになんでもないですよ、大丈夫ですよ」と学生がさも請け合ったように言ったのに対して、駅員は急におごそかな表情をして、静かに首を左右にふりなが…

書評・生命の研究はどこまで自由か

開店休業状態ですが、ひさびさに更新。生命の研究はどこまで自由か――科学者との対話から作者: ぬで島次郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/02/25メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 31回この商品を含むブログ (3件) を見る生命の研究、と題打…

「博士の奇妙な問題・第一部ポスドク・ブラッド」の終幕

終演のサイレンを鳴らすのが本書。博士漂流時代 「余った博士」はどうなるか? (DISCOVERサイエンス)作者: 榎木英介出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン発売日: 2010/11/16メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 20人 クリック: 307回この商…

内集団だらけのアメリカ、寡占状態の日本

http://d.hatena.ne.jp/Baatarism/20100522/1274544444こちらのブックマークでid:crowserpentさんにご質問いただいたので素人なりに少々。 山岸俊男さんの本は今手元にないのでうろおぼえですみませんが、アメリカ人のオープンネスの根拠となってる実験って…