「黒い雨」被曝者に関する内部資料、通称『オークリッジ・レポート』勝手訳その2

その1(背景と定義)
その3(対照群との比較とまとめ)


[g] 放射線被曝による大症状を一つ以上経験した生存者のほとんどは、小症状も一つ以上経験しているであろうと思われるが、記録からはこのことは導き出せないようだ。この表面上のアーティファクト(人為的な結果またはミス)はいくつかの理由によるものと考えられる。(1)大症状に気を取られ、小症状に気がつかない(2) インタビュアーが、大症状がある場合に小症状を記録しなかった(3)いくつかの小症状は、大症状より反応閾値が高い などである。「黒い雨」生存者群から 236名を大症状と小症状の記載があるものとしてリストアップした[訳注"from the control population of 16045 cases"「16045例の対照母集団から」の記載があるが、明らかに文脈からおかしい]。
[h]この調査は236名の生存者を対象にしている。対照群16045名において、初期被曝量が20radを超える者がいなかったため、「黒い雨」群においても初期被曝20radを超えた者は詳細な検討に含めていない。
[i]発症したが、発症日や発症機関などのデータが不足しているもの。

[j]本報告では相乗効果は無視している。また、放射線性疾患の要因が外部被曝によるものか、あるいは放射性粒子の吸引もしくは飲食物からの経口摂取によるものかの区別は行っていない。被曝者個々人の刺激・興奮レベルが嘔吐や非出血性下痢に影響した可能性はあるが、対照群は「黒い雨」への暴露という要因を除き、他の外傷的形態が同様な被曝者を注意深く抽出した。
[k]小症状とは発熱、嘔吐、出血性及び非出血性の下痢、大症状はその他全ての放射線性異常、例えば、口腔咽頭病変、紫斑(※皮下出血)、脱毛、などである。
[l]16,045人の対照群のうち初期被曝が20radを越えた者は居なかった為、初期被曝20radを越える「黒い雨」被曝者についてはこの表に記載する以上の詳細な解析は行わなかった。