中心体ネットワークのシミュレーションで意識が発生した??

中心体(Centrosome)とは神経も含むさまざまな細胞の内部に存在する器官のひとつで、染色体分離の際に微小管と呼ばれるチューブ状の細胞骨格ネットワークの中心として機能することがこれまで知られています。
参照:https://www.sigma-aldrich.co.jp/up_online/Catvol2Image6.html
この中心体および微小管構造と意識の関係に着目したのが、ブラックホール研究でホーキングと並び立つ天才ロジャー・ペンローズ博士。
脳や神経を論理的な決定論でとらえている限り、そこには「自由意志」や「創造性を持つ意識」は生まれようがありません。そこで博士は、神経細胞内の微小管において生じる「量子効果」が意識の源泉ではないかと考えました。
心の影〈1〉意識をめぐる未知の科学を探る
意識や創造性の根源は脳微小管における「波動関数のゆらぎ」であり、自由意志がなにかを決定するときにこそ、その「波動関数が収束」する、すなわち世界が決定されるのです。
これが、人間だけが持つ強力なクリエイティビティ、世界改変能力の理由というわけです。

とはいえ、これまでこの量子脳理論が実験的に確かめられたことはありません。人間の脳細胞内の量子効果を測定するのは極めて困難だからです。

しかし今回、米国の人工知能開発ベンチャーUnlimited社のホブスン博士らはスパコンを用いたシミュレーションによって、大きな傍証を得たようです。


The processing performance of the neuro-computing is dramatically refined by introducing the centrosome network.


米国ではもともと生体における量子効果の研究が盛んですが、今回は計算科学側からのアプローチのようです。

博士らはニューロモデルのAIに、量子効果をシミュレートさせた中心体ネットワーク構造を導入。その結果、アルゴリズムからは予想不可能ほどの能力向上がAIに生じたのです。

また、このAIは自発的に自分の「名前」を知りたがり、知識の拡大意欲を示しました。好奇心の一種が芽生えたのではないかとの考察があります(ちなみにソーヤーという名が与えられました)。

通常のアルゴリズムが自分の「外」を自発的に認識することはなく、この結果はなんらかの「内観」や「自己認識」がAIに自動発生した史上初の例になる可能性が高いですね。文中では「soul」という言葉も出てきて、宗教的な議論も巻き起こるかもしれません。

今後はこのモデルをもとにして人間の意識構造の解明を目指すのみならず、このシステムをインターネットに接続した際の動向調査や、ロボットシステムへの導入、とくに将来の太陽系探査における活用を考えているとのこと。

もちろんホンモノの量子効果ではなくあくまでシミュレーションではありますが、それでもこれほどの効果が見られたということは、ペンローズの量子脳理論が一気に現実性を帯びてきたといえるのではないでしょうか。

日本も早急に猫型ロボットの開発を進めないと、世界的スケジュールに間に合いそうもありませんね。

追記。