Science For All Americans翻訳プロジェクト終了間近

黒影さんのところで始まったSFAAプロジェクトが大詰めを迎えています
私自身は3〜4月はなかなか余裕がなくて「第6章 人体」しか手が付けられませんでしたが、ご協力頂いた皆さんの力でわずか2ヶ月という短期間に翻訳が一通り終了しそうです。
いや、素晴らしいですな〜。
しかもid:svnseedsさんの予想通り、なんとこのタイミングで本家AAASに日本語版が登場!どう見ても本プロジェクトの影響です。本当に(ry
黒影さん、本当にお疲れ様です。ご協力頂いた皆さん、全く皆さんのおかげです。
訳を比べて楽しむもよし、プリントアウトして教材に使うもよし。日本版SFAAをうまく使えば、日本の科学教育に相当大きな一石を投じることが出来るはずです。
それにしてもSFAAを読んだり訳したりで感じたのは、「サイエンス」というもののフトコロの深さ。私が担当した「人体」にしても、進化から分子生物学、文明論や健康な生活まで無理なく一つの文脈で論じられていて、基礎だ応用だ文系だ理系だといったくだらない対立は端から存在しません。
「科学」というのは人間が自分自身をも含む「世界」と対峙するための今のところ最も信頼できる方法であり、それを使って世界を知り、また世界を変えていくのが科学者の仕事であり使命なのです。
それはどこで何をしていようと変わらない。科学を修めた者は、その方法論を使ってどんなフィールドにいようと世界と対峙できるし、「科学という運動」に参加できるのです。
確かに研究活動そのものは個人の技量やセンスに大きく左右されるものではありますが、どうも日本の科学界はそういう職人的な個人主義が強すぎて、「科学という運動」全体に関するパースペクティブがないんですよね。id:kmiuraさんもおっしゃっていたけど、一種の「思想運動」でもあるんですよ、科学って。
まあ現在の各論化された研究現場では思想なんかなくても個人として論文は出せますが、科学界が「結社」あるいは「システム」として発揮する力は激減するでしょう。それが今の日本の状況ですね。
日本版SFAAが本来の科学思想を日本に根付かせる第一歩となることを願って。*1

*1:それにしても、一段落したらどっかで一杯やりたいですねぇ