原田依幸オーケストラ終了

あー面白かった。
総勢30名を超えるメンバー、しかもほとんどが当日初顔合わせという前代未聞のオーケストラ。どうなることかと思ったのですが、原田さんの的確な指示でみるみる間にアンサンブルとして組みあがっていく様は実はライブそのものよりも面白かったかも。
できることはできる。
できないことはできない(なんせその日の夜が本番)。
出来ることの中から最善のものを引き出し、最良の組み合わせを作っていく。
当然フリージャズの要素も入るから、ハプニング前提。リズムとアーティキュレーションを守っていれば、音程自体は自由に変えても構わない。むしろ、自発的によりよいサウンドを追求することが求められる。
いつ誰がソロを与えられるかは分からない。もちろん自分で出て行って一発かますのもOK。決められたリフの合間合間に、広い空間が与えられる。数人で示し合わせてリフを創ってしまってもいい。
自由と統制、協調とソロイズムのせめぎ合い。
これはたまらんですな。
正直、思ったよりリフが多くて覚え切れなかったのですが、東京からのメンバーが基礎を作ってくれていたのでなんとかノリだけは守って突破。
30名の猥雑なエネルギーは「渋さ知らズ」にも似ているかもしれませんが、より「音楽」ということに集中していて爽快でした。
原田さんのソロ。
肉体 x 精神 x ピアノ = 音楽。
豪快、時に繊細なタッチ。決してグチャグチャではない。むしろ音の一つ一つは粒だって硬質といえる。
リズムとメロディとハーモニーが一体になって表現される。物理的なスピードと、精神的なスピード。セシル・テイラーのエネルギーと、キース・ジャレットサウンド。そして原田依幸の音。
こういう表現はどうなのか分かりませんが、実にセクシーです。
ありがたいことに、10分ほどサックスでセッションさせていただきました。
スピード感を表現するのが難しかったのですが、何とか試行錯誤。やるだけはやりました。
聴くにつけ演るにつけ、得がたい音楽体験でした。
原田依幸さんは間違いなく世界に誇るべき才能です。
音楽を愛する人たちにもっともっと聴いてもらいたい音がそこにあります。
日本にはマスに乗らない天才がまだまだ沢山いるんですね。