数学世界は実在するか
先日のエントリにTBを頂きました。
モデルの持つ複雑性
こういうのを見ると,数学やTheoretical Computer Scienceというのはつくづく異端だなあと思ってしまう.言ってみれば,公理系でモデルを定義したとき,それにどのような性質があるかを延々とやっているのだもの.
確かに。特に数学は現実へのフィードバックをほぼ行わない。それでいながら、現実のある事象のモデルにふとなってしまうところがなんとも神秘的で、セクシー。
ゲーデルを初めとする数学者の多くはそんな点から「数学世界」は「現実」とは別に存在し、完成した秩序を持っているように感じていたようですね。「イデア」の世界といってもいいかな。
確かに、科学が帰納的に世界の実在を推定するならば、同様に数学世界の実在も推定することができるように思います。ただ、科学における帰納と数学における帰納は全く異なるので、数学世界に対して科学の帰納を用いていいのかはよく分かりませんが。
もし数学世界があるとすれば、そこには数学生命がいるんでしょうかねぇ。完璧な整合性ゆえに、静的で進化や多様性は無さそうなイメージ。
そういった数学世界観の極北がグレッグ・イーガンの小説ですね。ここでは数学世界こそが現実世界を規定するため、ある「計算」があわや世界を滅亡の淵に追いやったりするわけです。
- 作者: グレッグイーガン,Greg Egan,山岸真
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2006/12/01
- メディア: 文庫
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デカルトを持ち出すまでもなく、世界が自分の思考によって出来ているのではないかという「妄想」に子供の頃一度は取り付かれるものだと思いますが、もしかすると数学世界において人類の精神はリンクしているということなのかもしれません。
あれ、ユング?