SFにみる3つの「働かなくても食っていける社会」

働かなくても食っていける社会がもうすぐやってくるよ
あー、新しい産業が起こった時には必ずこういわれますよね。産業革命とか、20世紀後半の科学革命とかね。
今度こそ正夢か?ってことで、どうすれば「働かなくても食っていける社会」が成立するか考えてみましょうか。
ヒンドゥーには創造神ブラフマー、維持神ビシュヌ、破壊神シヴァの3大神がいますが、実際世の中の「労働」ってのは「生産」だけじゃありません。
むしろよく考えると、ほとんどの労力は「維持」だとか「後始末」に使われているのではないでしょうか?
何しろ「情報」と違って、モノとかヒトとかはどんどん劣化していきます。
である限り、こういう「非生産的」な労働はなくなりません。結局Googleのような企業も、それらをアウトソースしているに過ぎません。
とすると、いかにしてこういった「非生産的労働」を消してしまえるか、がクリティカルってことになりますね。
マトリックス コレクターズボックス【完全英語版】 [DVD] 
一つの方法は、おなじみ「マトリクス」、あるいは「百億の昼と千億の夜」のゼン・ゼン・シティのように、肉体を捨て去ること。
みんなまるごと「情報」になってしまえば理屈としては劣化せず、それを補う必要もなくなります。とはいえ、こういう時代はまだまだ・・1000年くらいはかかりそうですね。実は上の二つにしろ、完全に情報化できているわけでもありませんし。
ロボット (岩波文庫)
じゃあ、「非生産的労働」を人間がやらなきゃいいじゃん、ということでカレル・チャペック「R.U.R.」。ロボットにやらせりゃいいじゃん。
そもそもロボットって言葉はチェコ語の「強制労働=robota」からきてるらしいですし・・・そのまんまですね。
これもまあ、100年以上はかかりそうです。とりあえず、料理をやってくれるロボットが作れたらその先早いかもしれませんが。
家畜人ヤプー〈第1巻〉 (幻冬舎アウトロー文庫)
で、最後にもう一つアクロバティックなのが。
「非生産的労働」が「労働」じゃなきゃいいんじゃない?禁断のSF、「家畜人ヤプー*1
ヤプー」の世界では、文化と文明を独占する白人以外の人種は全て奴隷もしくは「家畜人」です。
「家畜人」はあらゆる「非生産的労働」を担わされますが、それは家畜人にとって「労働」ではないのです。精神と肉体を改造されている「家畜人」にとっては、それは「奉仕」。喜びであり生きがいなのです。めでたし、「働かなくても食っていける」。
さて、「働かなくても食っていける社会」、どれが最初に実現するのでしょうか?
楽しみですね。


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