ぼく経済成長のなんなのさ

わかりやすい…ようでいてなんだかわかりにくくないですか? 私の鈍さはさておき。
経済成長ってなんなのよ?
多分複雑な前提をいろいろと省略しているために分かりにくいのだと思うので、個人的に整理してみます。

というわけで
経済成長=一人当たり実質GDPの上昇
というところから出発しましょう.

まずこれ、どうなんでしょう。
こうやって人口で割るといかにもGDPが各国民に分配されているように見えますけど、実際にはそんなことはないわけで。「国民の豊かさ」の指標としてはかなり作為が入ってきませんか。
普通、正規分布をとらないような集団を代表・要約する場合には平均値ではなく最頻値や中央値を使いますよね。たとえば「世帯あたり購買力の最頻値」であればかなり現実を反映するように思うのですがいかがでしょう。
雲の上のほうで巨額のマネーが飛び交えばGDPは上昇するでしょうけど、それを人口で割っても「国民が経済的に豊かになっていくこと」とは全然別ですよね。あるいは、平均値が適当である特殊な理由があるのでしょうか。

・なんだか僕らは年率2%くらいで要領がよくなってるみたい
・これが長期的な経済成長の源泉(のひとつ)だ

まず「潜在成長率」というのは「労働力、資本設備など生産活動に必要な要素をすべて使った場合に達成可能な成長率」ということですが、どのくらい妥当性があるのか、過去からの類推なのか、産業構造が変わっても通用するものなのか。
また、「僕らは」とありますが、成長のスピードは産業やセクターによって異なるわけで、たとえば一部の業界でバブル的な膨張が起こっていた場合、「僕ら」の要領とはあまり関係なくなってしまいます。
で、問題は日本ではこの潜在成長率が達成できていないこと、なんですよね?
とするとここも不思議。

・潜在成長率の伸びにあわせた実際の経済成長
がないとどうしてもどこかにツケをまわさざる得なくなる.

潜在成長率というのは現在の生産能力がフルに発揮されれば実現できるはずの生産量の伸びしろで、それが実現しない場合に考えられることは二つ。

  • それほどの生産力が実際にはない

あるいは

  • それほどの生産が必要とされていない(需要がない)

ということですよね。
ですからここから効率化によって労働力が削減される、という話にいきなりなるのは飛躍が過ぎませんか。潜在成長率を達成しているにもかかわらず失業が増える、という場合ならよいのですが。
この辺りの議論は私の概念理解に間違いがありました。が、やはり未だ腑に落ちないので後日。
あとコメント欄の

有望な産業に政府援助を……みたいな話は全く不可能だし成功例もありません.

これはちょっと言いすぎかと。産業分野によりますよね。
大規模なインフラや研究開発が必要な産業の場合、政府にできることは沢山あるでしょう。有名なものではアメリカの半導体産業が大規模な政府援助を元に復活して日本を打ち破った例とか。燃料電池でも同様の事態が起きつつあるようですよ。
luke_randomwalkerさんによると日本での成功例はないそうですが、それは日本のインフラ構築能力がないか、基礎研究から産業につなげる力が乏しいということではないでしょうか。
あるいは、上記の例でも政府が一から十まで統制したわけではなくて、グランドデザインは民間が描いて政府に支援を求めているわけですから、政府が関与したからといっていきなり社会主義、はイデオロギーに囚われすぎかと。
そう考えると、民間が政府をうまく活用する能力が足りないということなのかもしれません。
政府エンガチョみたいなジンクスにこだわらず、どうすれば政府の力をうまく使ってインフラ構築し新産業を興せるか、を考えるのが妥当ではないかと私は思います。

うーん、「国民が経済的に豊かになっていくこと」は大歓迎なのですが、今回の論はなんだか獏のように捉えにくくて、経済成長ガッテンとはいいかねます。
もうちっと私も勉強しつつ、要ヲチですね。


P.S. コメント欄luke_randomwalkerさんとのやりとりを受けて表現を整理しています。内容は基本的に変わっていませんが、お見苦しい場合にはご容赦を。