海外版CD輸入禁止問題

「本日のBGM」のラインナップを見ていただければわかると思いますが、僕の好みはどちらかといえば世間的にはマイナーな洋楽に偏っています。
んで、「著作権法の一部を改正する法律案」(閣第九一号)はちょっと気になる話でした。最近僕がよく拝見しているユニークな音楽家集団のHPに割と分かりやすい解説があったので転載させて戴きます。
http://avarou.hp.infoseek.co.jp/内、人でなしレビュー
著作権法の一部を改正する法律案」(閣第九一号)

まあ、簡単にゆうたら、国内盤が出てるCDに関して、それよりも値段の安い輸入盤が、店に並ぶことを法律で禁じようということでありますな。もしこれが可決されればアメリカの禁酒法以来の珍法案が誕生することになる(笑)。いや、海賊版じゃなくて、正規盤の話だってば。違反したら下手すりゃ懲役&罰金だぜ。すげえなおい(笑)。
 国内盤が出てる輸入盤が規制対象だが、私は国内盤が出ていない輸入盤にも影響があると思う。なぜなら、メジャーがライセンスを所有する輸入盤はコストを下げるために、ある程度出荷可能な商品が貯まってからまとめて店に発送されるからである。国内盤が出る輸入盤というのは大抵売れ線の商品だから、その出荷数が削られると他の輸入盤も流通のスピードが大幅に停滞する可能性がある。
 しかし、思い返せば、いくつか伏線があったことに気付く。CD店に勤めたことがある人ならご存知だとは思うが、例えば、国内盤の返品制度。新譜が発売される前、その店がその商品を何枚注文するか、というのをレコード会社から派遣されてきた営業と店員の間で交渉するわけだが、これはあからさまに売れねえだろう、あるいは俺はこんなクソ売りたくねえな、在庫余りそうだなあ〜という商品に関しても、営業はノルマを課せられているわけで、色々と攻勢をかけてくるわけである。まあ、仕事やから、そこは理解できる。が、あとで数ヶ月後それを店内から、ごっそり撤収してメーカーに返品できるのである。その返品枠をはじめの発注の段階で営業が暗に「提示」した上でこちらに発注を促してくるわけだ。
 するとどうなるか。客がぜ〜んぜん注文&予約していない商品が「さも売れているか」のように店内に平積みにされるのである。ひどい店になると、そういう商品を「売れています!!」とか書いて売ってたりしてさ(笑)。客も、こんだけ店に「並んでいる」のなら、この商品は「売れている」んだな、って思うよな。その心理につけ込もうとしていたわけ。しかもその「店頭に並んでいるだけの数」がオリコンチャートにもしっかり反映されているのだ。オリコンチャートをよ〜く見てみよう、週間「推定」売上数とか書いてあるでしょう?あれは、詐欺ですよ。はっきしいって。誠実じゃない。
 当然の事ながら膨大な商品を入荷&返品する際に、運送コストもかかるわけで、新譜が出る度に膨大な量な商品が店とメーカーの間「だけ」を行き来する訳でしょ。そのコスト+メディアへのプロモーション費用が国内盤の値段の高さにつながっていると、私は考えている。国内盤は絶対に、もっと安くできる。その弊害になっているのはフレキシビリティに著しく欠けるゼネコン的な業界の体質にある。俺は、消費者原理主義者ではない。俺が希求するのは、時流に合わせた流動的かつ柔軟な新たな流通機構の成立と、無駄に肥大した業界の適度な縮小だ(さあ、みんな、一等地に居を構えるつるつるのレコード会社屋ビルに見学に行ってみよう、縁故入社のボンボンが出迎えてくれるぜ。)。
 この偉大な返品制度は輸入盤にはほとんど適用されない。いや、「できないようにされている」と言うべきか。輸入盤も、メジャーの子会社が流通の基礎をやっているので、そういうシステムにして「ある」のである。従って、不景気で余剰在庫を嫌う流れから「自動的に」国内盤にシフトしはじめた。国内CD大型チェーン店の殆どから返品できない買い取りの輸入盤は売場から姿を徐々に消す事になる。とはいえ、需要は増える一方なので外資系CD店やDJ〜マニア向け小売り店、amazonなどは売り上げが伸びたのではないだろうか?まあ、店の種類がたくさんある分、数字が拡散して店単体ごとの売り上げは、大型店舗を除き、大したこと無いだろうけど。これはトータルの話。
 輸入盤を仕入れようとすると、リスクが高いとか理不尽な難癖を上から付けられて泣く泣くクソ高いクズみたいな国内盤を並べさせられた店員とかたくさんいた。輸入盤に執着して担当からはずされた者も。むしろトータルでコストも値段も高いのは国内盤なのに。俺は思った。国内CD販売店の多くは販売店の顔をした国内メジャーレコード会社の企業舎弟なのだ、と。数年前からそういう流れは始まっていたのだ。
 「再販売価格維持制度を堅持しなければ、メジャーなタイトルしか店に並ばなくなる」という 見解もあるが、私はそうは思わない。再販売価格維持制度を維持してもしなくても、今の時点でメジャーなタイトルしか並べてない店は「そのまま」なのだ。マイナーで面白い音楽を置いている店の殆どは、細やかなニーズに応えるべく「買い取り」で地道にやっている店だ。今回の法案が成立してダメージを受けるのはどっちか、わかりますか?あなた。

やな話ですねぇ。。出版界の再販制度は悪名高いですが、CDにもあるとは知りませんでした。こうやって日本人は自分の感性を磨く機会をどんどん失っていくんですな。社会のマッチポンプ感は高まるばかり。