研究と一口に申しましても

科学者や研究者の世界はイメージとのギャップが大きいためか、はたまた適性をチェックする機構が(特に日本では)ないためか、「自分は研究に向いているんだろうか」と悩む人がやたら多いような気がします。(ま、他の業界をよく知らないので比較はできませんが。)
でまあ、データが出ない、とか就職ヤバイ、とかいう具体的な悩みならよ〜〜くわかるんですが、個人的に一番アレなのが「昔から研究者になりたかったのに」とか「研究者ってなんなんだ」とかいうタイプです。
なんか最近はお医者モノの漫画やドラマでもそういうのがあるらしいんですが、なんていうか「夢」だの「やりたいこと」だのと煽りすぎたんじゃないでしょうかね。夢だ目標だと言っても所詮は欲望に過ぎません。ましてや子供〜学生時代のソレは99%妄想みたいなもんです。それをやたらと尊いもののように刷り込まれてしまったために、現実とのギャップに悩むと。
じゃあ現実に適応しろ、とは僕は言いません。むしろ、自分の欲望、妄想をもう一度確認しろ、直視しろ、と言いたいです。
例えば「研究者」、といったとき、その仕事には本当にいろいろな要素が含まれます。手足を使ってデータを集めること、仮説を立てること、新発見すること、デスクで書類を書くこと、論文を書くこと、コーヒーブレイクすること、人前でプレゼンをすること、時には飲みながらディスカッションをすること、雑用をすること、人に教えること、資金繰りをすること、人を使うこと使われること、などなど。
それらの中の自分が欲望を覚える要素がはどれなのか、本当にあるのか、その仕事にしかないのか、ということを還元主義者らしく考えてみましょう。そしてその欲望を満たすためのリスクやコストは自分にとってどうなのか。
もう一度言いますが、子供のころの夢や目標など尊くもなんともありません。ただし、そこには自分のプリミティブな欲望が隠されている可能性は大いにあります。その点においてのみ子供の頃の「夢」を大事にしましょう。