大学院はてな

そうそう、研究ですね。僕のやってる研究のキーワードは、老化、ストレス、神経変性といったとこでしょうか。線虫C.elegansをメインに培養細胞なんかも使ってやってます。
C.elegansてのはヨーロッパ由来の土壌性の袋形動物で、体長1mmくらいの透明の生物です。こいつは非寄生性ですが、仲間には寄生虫として知られる回虫がいまして、古来より研究対象になってました。それに目を付けたのが2002年のノーベル賞受賞者シドニーブレンナー博士(沖縄大学院大学学長!)で、以来遺伝学と分子生物学のモデル生物として発生、神経系の研究に貢献してきました。ちなみに全ゲノム塩基配列解読第一号の多細胞生物でもあります。
で、業界ではそれなりにメジャーな生物だったんですが、最近にわかに世間で注目を集め始めたのは、C.elegansにおいて長寿変異体が見つかったことが大きいです。そいつは体の他の機能を損なうことなく、通常の2-3倍の寿命を持っていたのです。
アメリカの研究者がしこしこ研究した結果、その変異体では人間でいうインシュリンと似たホルモンによる情報伝達経路に変化が生じていることがわかり、すわ長寿薬か、という感じで研究者がどっと増えたというわけですね。
参照:http://www.hotwired.co.jp/news/news/20040210306.html

僕は日本では最初に参入したほうですが、それでも後発組なんでなかなか大変です。(ネタバレ気味ですが、貴志祐介の天使の囀りというホラー小説を読んでちょっとげっそりしました。)