権利と配慮

id:Ririkaさんのところで触れられたアイスターのお話。結果的にはアイスターの対応は失敗だったのですが、何やらにも五分の理、というか、それくらいのものは彼等の側にもあるかな、とは感じています。
既にグーグルからも削除されてますが、アイスター秘書室からのメールの中でも使われていた、元暴力団員の例え。非常に危険な例えですし、説明も曖昧だったので単に差別的に聴こえるのですが、一応それなりの理屈が隠されているようです。
敢えて元暴力団員の例えを使いますが、元インフルエンザ患者と元ハンセン病患者とでは異なり、元ハンセン病患者と元暴力団員とで共通していることが一つあるのです。
言いにくいことですが、それは外見が周囲に不安を与えるということです。もともとハンセン病患者が苛烈な差別にさらされたのは、その外見における病態が大きな原因となっています。元暴力団員も、まず何より入れ墨を含めた威圧的な外見こそが問題なのです。こういう不安は、差別と言うよりはまず反射的なものです。慣れや、事前の準備、説明がなければどうしても生じるのです。
ですから、何の準備も説明もなく元ハンセン病患者の団体が宿泊した場合、何らかのトラブルや風評が発生する可能性は低くないと判断してもおかしくはありません。またもしトラブルが発生した場合、結局ホテル側の責任が問われることになるのは目に見えています。
ただし、宿泊拒否をした場合にも問題になることも分かり切っていますので、最終的にはアイスターの判断ミスであることには違いありません。
もちろん社会的な場面で外見がどうこう、ということ自体が差別的であるのはいうまでもないことですが、人間が外見に大きく反応してしまうのはどうしようもない事実です。ですからそれを考慮した上で、差別を無くしていこうとする努力をすべきなのです。今回は宿泊手配をした県の職員の問題だと思いますが、これからもこういうことは起こりうるでしょう。その時に「権利がある」ということは、「相手に何の配慮もしなくていい」、ということではないという点に注意すべきではないかと思います。
・・ま、アイスターはいろいろと問題の多い企業らしいってのはありますが。それとはまた別の話ってことで。