経済が元気ってどういうことだ?(基本原理?編)
経済成長以外のものを目指した方が、むしろ経済が成長する
ふむ。興味深いですね。半分賛成です。せっかくなのでもう少し踏み込んでみます。
そもそも、経済ってなんなんでしょう。
お金が絡むのは分かります。人がモノやサービスを買ったり売ったりしてお金がどんどん移動する。んで成長したり縮小したり、元気になったり停滞したりする。
よく経済が人間の体だとすると、お金は血液だといわれます。それが循環することで体に必要なものを回している。血圧は高すぎても低すぎてもダメだと。
このへんの喩えから察するに、大雑把には
経済とは「お金を介した価値の移動」
だと見ていいのではないかと思います。
じゃあ今度は「価値」とはなんぞやということですが、経済学ではこの「価値」のことを「効用」というみたいですね。
「効用」というと、まあ「効果」だとか「効き目」というのと近い意味合いでしょう。
「効き目」という言葉には、「ある理想的な状態があって、それに近づく」という意味が込められています。例えば薬の「効き目(効用)」は、「理想的な健康状態」を考えて、そこにどれだけ近づくことができるか、で判断されます。
これらを考慮すると、一歩進んで
経済とは「人々が連鎖的に、お金を使ってある理想に近づこうとすること」
であるといってもそれほど間違いではないでしょう*1。
ですから元気な経済とは「人々が活発に理想を追い求めてお金を使っている」状態であり、逆に日本のような停滞した経済というのは、
「人々がお金を使って理想に近づこうとしない」
ことを意味します。
なぜそうなるのか? 理由は単純なところでは3つほど考えられます。
1. 理想を達成した
2. 理想を見失った
3. お金を使っても理想に近づきそうもない
まあ1と2は表裏一体といったとこでしょうけど。
これを日本に当てはめてみると、割とよく一致します。
1. 少なくとも衣食住の確保は相当な割合で達成され、娯楽も安価かつ大量に提供されている
2. 上の世代の掲げていた「理想」に下の世代が幻滅している
3. 羨望の対象たる「セレブ」は確かに存在するが、多くの人にとって現実的な努力対象ではなくなっている
なかなか大変ですな。これに対処するには例えば
1‘ 生活苦を味あわせる
2‘ 目新しい「理想」を持ってきて信奉させる
3‘ 手に入らないものも入るように思い込ませる
などがありますね。なんかどっかでみたような話ですが、多分安倍首相やその取り巻きの考えてるのはこの辺でしょう。彼らの持ってくる「理想」はもちろん「愛国」なわけですが。さあ、どうですかコレ。
1’3’はアレとして、2’の新たな理想を持ってくるということ自体は的外れでないと思います。しかし、どういう理想をどのように持ってくるか、もまた非常に重要なポイントとなるはずです。
・・てなことについてもうちょっと書きたかったのですが、長くなったのでまずはこの辺にて・・。
明日に続きます
*1:欲望が経済を駆動する、というのも同じことだと思います。しかし、生理的欲求がある程度満たされた後の「欲望」は、何らかの「モデル」によって作り出されるものです。それをここでは「理想」と呼び舞ます
追記:ボクらが成長すれば経済は成長するか?
経済成長は、ぼくたちの努力や成長の総和でしかない。
「成長」の意味次第。いってしまえば、経済が成長するような「成長」をしなければ経済は成長しません。
例えば皆が精神的に「成長」して、仙人のような暮らしを始めたとする。経済は成長するでしょうか。
しません。
皆が仕事に生活に「努力」して車もレジャーもサプリメントも必要なくなったら経済は成長するか?
しません。
要するに「価値の交換」が成長しなければ経済にはつながらないってことですな。
リンク先のは山形氏にしてはちょっと粗雑なレトリックではないでしょうか。