政策マトリクス

JMM最新号「選択のマトリックス冷泉彰彦 
http://ryumurakami.jmm.co.jp/recent.html
より引用させていただきます(こちらからは最新号しか読めません)。

構造改革路線以外にも重要な争点があります。そうした他の争点とのマトリックスの問題を考えてみましょう。例えば、外交問題です。小泉外交とはブッシュ政権の軍事外交政策への徹底した追随と、歴史問題を中心としたアジア諸国との関係冷却化を放置するという明確な方針がありました。仮にこの問題を「米国追従」か「国際協調」かという選択肢にまとめたとして、これは現在の小選挙区比例代表並立制の中では、どのように問われるのでしょうか。

構造改革と外交ではマトリックスは2かける2で4通りになります。(1)小さな政府=対米追随、(2)小さな政府=国際協調、(3)大きな政府=対米追随、(4)大きな政府=国際協調、の4つです。小泉自民党は勿論(1)ですし、自民党内の造反派は(3)ということになるのでしょう。そして、民主党の主流としては(2)のようです。

ところが、まず民主党小泉政権への対抗をする必要から、元来が(2)の位置から(4)に変わってしまっています。岡田代表は「郵政は主要な争点ではない」と言っており、その真意は「元来は(2)だが、支持基盤の組合の問題と、政権への対抗から仮に(4)になっている、その不自然さを自民党に突かれないようにしたい」ということなのでしょう。

自民党内の造反派も、(3)というよりも橋本派や旧宏池会など、むしろ本来は(4)という性格の政治家も多いのです。そうなると、余計に民主党が(4)の姿勢を変えなければ票の食い合いになる可能性があります。小泉首相としては、そうした混乱を横目で見ながら都市部を中心に(2)を取り込んでいこうという戦略なのでしょう。もっと言えば、有権者に対する選択肢が(1)と(4)の2つに集約されかねない、そんな危険を孕んだ選挙になりつつあるようにも見えます。

然り。本当はマトリクスはもっと増えます。
郵政による単純化に惑わされず、各政策マトリクスに優先順位をつけ、かつマトリクス間の整合性を検討する、という複雑な操作が要求されるのが今回の選挙というわけです。
あー大変。。