茂木と梅田のいる場所は既に科学者が2000年に通過した場所

科学者に衝撃を与えた「ロマンティックでない」グーグル
今頃何をいってるんだか。この人たちはかの「ヒトゲノム・プロジェクト」を忘れたのか?
特に茂木さん、生命科学研究の歴史を知らないんでしょうか。
あの頃も一種の狂騒状態で、バイオ研究者のすることはなくなるんじゃないかというまことしやかな説が飛び交ったもんです。
確かに遺伝子情報が誰でも手に入れられるようになり、それまでの単に遺伝子を同定しただけで論文が書けていた時代は終わりました。
しかし生命科学研究は終わるどころか、一層白熱しています。機械的な遺伝子配列の解読をしなくてすむようになったおかげで、より「人間的な能力」が研究にとって重要になりつつあります。
それは生物学的意味づけであり、根源的な洞察であり、観察と直観であり、イマジネーションの力なのです。
情報格差を利用して知識を切り貼りし、それっぽいハッタリで食っている人たちにはやや危機的な状況かもしれませんが、情報と現実の間には依然越えられない溝が存在するし、その橋渡しができるのはそれこそ人間の「脳」だけなんじゃないですかね、茂木さん。
抽象と具象を橋渡しする人間のイマジネーション。これこそが最大のロマンなんであって、グーグルどころかあらゆるチューリング・マシンの及ばないところなのです。
ってなことくらい言わなくてどうするよ。
むしろ科学者が危惧すべきことは、大量の情報の海に遊びすぎて、抽象と具象、モデルと現実を橋渡しするという自然科学において最も重要な点を忘れてしまうことではないでしょうか。
ところで、私はグーグルの「世界をアーカイブ化する」という思想の源流はそもそも上記の「ヒトゲノム・プロジェクト」にあるんではないかと思っています。
特にセレラ・ジェノミクスのクレイグ・ベンターは、ゲノムのみならず最終的には「ヒトの全ての生命情報をネット上にアーカイブ化する」ことを目指していたそうですから、正にグーグル的*1。というか、グーグルがベンター的なのか。
つまりグーグルのやっていることは「ウェブゲノム・プロジェクト」なのです。
それはある種の仕事のやり方を一変させるでしょうが、世界を理解するのは依然変わらず、人間のイマジネーションなのです。

*1:でも夢がでかすぎてクビになりました